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  • グラベルタイヤの選び方|太さ・トレッド・ケーシング・空気圧をどう決める?

    2026年9月11日by NishimuraDaisuke

    グラベルライドを始めると、かなり早い段階で気になってくるのがタイヤです。

    「40Cと45Cならどちらがいいのか」「舗装路も走るならセミスリックの方がいいのか」「林道へ行くならもっとゴツいタイヤが必要なのか」「空気圧はいったい何psiにすればいいのか」。

    グラベルタイヤは、太さだけでなく、トレッド、ケーシング、重量などによって走りの性格がかなり変わります。それだけに、いきなり商品名やブランドから選ぼうとすると、かえって迷いやすくなります。

    まず考えたいのは、自分がどんなバイクで、どんな道を、どんなふうに走りたいのか。

    タイヤ幅・トレッド・ケーシングを「必要な性能」から考えていくと、自分に合うタイヤが見えやすくなります。

    この記事では、それぞれの役割を整理しながら、僕自身が長く林道を走ってきた中で感じてきたことも交えて、グラベルタイヤの選び方を解説します。

    グラベルロードで林道を走る様子の画像
    舗装路、締まった砂利道、浮き石、岩、泥。同じグラベルでも路面と走り方によって必要なタイヤ性能は大きく変わります。

    まずは「どんな道を、どう走るか」を考える

    タイヤを選ぶ前に整理したいのは、路面とコースの特徴です。

    よく締まった砂利道なのか。浮き石の多い林道なのか。岩や木の根が現れる荒れた道なのか。それとも雨のあとに泥になるような道なのか。

    さらに同じ路面でも、平坦を一定速度で走るのか、急な登りが続くのか、下りや急なコーナーが多いのかによって必要な性能は変わります。

    「路面の荒れ具合」と「路面の安定性」は別に考える

    ここで僕が分けて考えているのが、路面の荒れ具合路面の安定性です。

    大きな石や凹凸があっても、それらがしっかり固定されている路面なら、タイヤを大きく変形させて追従できるエアボリュームが助けになります。

    一方、凹凸そのものは小さくても、深い砂利や浮き石がタイヤの下で動く路面では、幅だけでなく駆動・制動・コーナリングで路面を捉えるトレッドも重要です。

    「荒れている」と「不安定」は同じではありません。

    凹凸の大きさにはエアボリュームが効きやすく、動く砂利や柔らかい土ではトレッドの役割が大きくなります。

    路面 特徴 タイヤに求めたいもの
    舗装路+ハードパック 比較的平滑で締まっている 転がりの軽さ、低めのセンタートレッド
    一般的な砂利林道 細かな砂利、多少の浮き石 速度、エアボリューム、グリップのバランス
    ルーズな砂利 表面の石が動きやすい 駆動・制動トラクション、ショルダーグリップ
    岩・木の根・深い轍 路面の凹凸が大きい エアボリューム、耐衝撃性、路面追従性
    泥・柔らかい土 タイヤが沈み込みやすい 高く間隔の広いノブ、泥抜け

    ひとつの順番だけで決める必要はない

    グラベルタイヤは、まず必要なグリップからトレッドを考えることもできますし、必要なエアボリュームからタイヤ幅を考えることもできます。

    例えば同じ荒れた路面でも、タイヤを太くしてエアボリュームを増やせば、高速寄りのトレッドでも十分に走りやすくなる場合があります。

    反対に、十分な太さがあっても、ルーズな急登やコーナーが多ければ、より明確なトレッドが欲しくなります。

    タイヤ幅、トレッド、ケーシングはそれぞれ別の調整軸です。

    ひとつずつ順番に決めるのではなく、走るコースを基準に三つを行き来しながら全体のバランスを決めていきます。

    さまざまなグラベル路面を比較する画像(AI生成画像)
    同じ「グラベル」でも、路面の凹凸、石の動きやすさ、勾配、コーナーによって必要なタイヤ性能は変わります。

    路面の荒さとエアボリュームの関係

    グラベルタイヤの太さを理解するときに大切なのがエアボリュームです。

    路面の凹凸が大きくなるほど、タイヤには石や段差を包み込むような大きな変形が必要になります。その変形量を確保するために、より大きな空気量が欲しくなります。

    路面の凹凸が大きくなる

    凹凸へ追従するために、タイヤにはより大きな変形量が必要になる

    その変形量を確保するために、大きなエアボリュームが欲しくなる

    太いタイヤなら、荷重を支えながら空気圧を下げやすい

    タイヤが石や段差を包み込むように変形する

    跳ねにくく、接地を維持しやすくなる

    グリップ・快適性・走破性が高まりやすい

    つまり、太くすること自体が目的なのではなく、必要な変形量を確保できるエアボリュームを得ることが重要です。

    タイヤも最初の「サスペンション」

    小石や細かな凹凸なら、タイヤ自身が変形することで吸収できます。

    しかし岩や木の根が連続するようになると、タイヤだけでは必要な変形量を確保しにくくなります。空気圧を下げすぎれば、タイヤのヨレやリム打ち、ビードが一時的に浮いて空気が抜ける「バープ」のリスクも高まります。

    そこまで荒れてくると、前輪そのものを上下させて接地を保つサスペンションフォークが欲しくなってきます。

    タイヤが路面を包み込んで追従できるうちは、タイヤ自身が最初のサスペンションとして働きます。

    グリップはノブだけで決まらない

    トレッドはもちろん重要ですが、タイヤが路面形状へ追従し、接地を維持できることもグリップに関係します。

    そのため、タイヤを太くしたからといって、必ずしもトレッドまでゴツくする必要はありません。十分なエアボリュームがあれば、転がりの軽いトレッドでも必要なグリップを確保できる場面があります。

    細いタイヤと太いタイヤの路面追従性を比較する図(AI生成画像)
    太いタイヤは大きなエアボリュームを持ち、低圧でも荷重を支えながら路面形状へ追従しやすくなります。

    グラベルタイヤの太さは何mmを選ぶ?

    近年のグラベルバイクでは45mm前後は珍しくなく、荒れた路面を走るなら50mm以上も現実的な選択肢になっています。

    Veloでは2026年のグラベルタイヤガイドで、未舗装路の割合や路面状況をもとに、タイヤ幅の出発点としておおよそ次のような範囲を紹介しています。

    主な走行環境 幅の目安
    舗装路中心+滑らかなグラベル 35〜40mm
    舗装路と一般的なグラベルを両方走る 40〜45mm
    未舗装路中心+多少荒れた道 46〜50mm
    ほぼダート、トレイル寄り 50〜56mm

    ただし、これは絶対的な答えではありません。実際には路面だけでなく、次の要素も一緒に考えます。

    考えること タイヤ幅への影響
    フレーム・フォークのクリアランス 物理的な上限。泥や異物を逃がす余裕も必要。
    リム内幅 装着後の実測幅や断面形状に影響。詳しくは後述。
    路面の荒れ具合 凹凸が大きいほど大きなエアボリュームが欲しくなる。
    路面の安定性 深い砂利や動く石では、幅だけでなくトレッドも重要。
    システム重量 ライダー、自転車、荷物が重いほど大きなエアボリュームが有利になりやすい。
    許容できるタイヤ重量 太さによる重量増加と軽快さのバランスを考える。
    バイクの設計思想 その自転車が狙っている走りを生かせる幅を考える。

    「太いタイヤ=遅い」とは限らない

    Cyclingnewsは、タイヤ幅だけを変えたときに転がり損失がどう変わるのかを調べるため、Vittoria Terreno Dryを31C、33C、38C、47C、50mm、53mmの6サイズで比較しています。

    いずれも同じGravel Enduranceケーシングと同系統のセミスリックトレッドを使い、同じ25mm内幅のリムへ装着。タイヤサイズに応じて空気圧を調整したうえで、Silverstone Sports Engineering Hubのペダリング効率試験機を使って測定しています。

    その結果、多少のばらつきはあるものの、全体として太いタイヤほど転がり損失が小さくなる傾向が確認されました。

    より現実的な比較としてCyclingnewsが挙げている38Cから53mmへの変更では、2本分に換算して、25.2km/hで約9.2W、32.4km/hで約9Wの差になっています。

    ただし、この結果の読み方には注意が必要です。

    幅の比較テストに使われたのは実際のグラベルではなく、一定条件で違いを切り分けるための滑らかな疑似舗装面です。また、ここで測定しているのは主に転がりによる損失であり、太いタイヤによる重量増加や空気抵抗まで含めた総合的な速さを比較したものではありません。

    つまり、「一番太いタイヤを履けば、どんな条件でも一番速い」という話ではありません。

    それでも少なくとも、細い=速い、太い=遅いという単純な考え方だけでグラベルタイヤを選ぶ必要はなさそうです。

    同じタイヤでも、40C・45C・50Cで性格は変わる

    例えば Panaracer GRAVELKING ZX には40C・45C・50Cがあり、基本的な高速系トレッドは共通しています。

    サイズ 主に変わること 考え方
    40C 小さめのエアボリューム、軽量 軽快さや舗装路比率を重視
    45C エアボリュームと重量の中間 速さと路面追従性のバランス
    50C より大きなエアボリューム 高速トレッドを残しながら追従性や安定感を増やす

    50CにしてもZXのトレッドそのものがゴツくなるわけではありません。増えるのは主にエアボリュームです。

    それでもルーズな急登で後輪が空転したり、強い制動でトラクションが不足したりするなら、今度は GRAVELKING X1GRAVELKING SK のように、トレッド側をグリップ方向へ変えることを考えます。

    「太くすること」と「トレッドを強くすること」は別の調整です。

    ZX 40C→45C→50Cは主にエアボリューム。ZX→X1→SKは主にトレッド特性の調整、と考えると分かりやすくなります。

    僕は、基本的には「太い側」から考える

    ここからは僕自身のタイヤ選びの考え方ですが、フレームやフォークのクリアランスに余裕があり、その自転車の用途に合っているなら、僕は基本的に想定されているタイヤレンジの太い側から考えます。

    理由は、大きなエアボリュームがある方が空気圧を下げやすく、荒れた路面でタイヤを路面へ追従させやすいからです。グリップや快適性だけでなく、知らない林道へ入ったときの余裕にもつながります。

    そして、舗装路を走るからという理由だけでタイヤを必要以上に細くする必要もないと考えています。

    舗装路での走行性能を高めたいなら、僕ならまずスリックや高速系センタートレッドを選びます。タイヤ幅は、バイクの設計、必要なエアボリューム、重量、速度域などから別に考えます。

    例えばパフォーマンスロードなら、そのバイクが想定する範囲内で空力や軽快さとのバランスを見る。エンデュランスロードやオールロードなら、より大きなエアボリュームを活かす。そして50mm前後まで対応するグラベルバイクなら、舗装路中心でも40mm台後半や50mmクラスの高速タイヤを使うという考え方もあります。

    舗装路だから細くするのではなく、舗装路ならトレッドを舗装路向けにする。

    もちろん、物理的に入る最大幅が必ず最適という意味ではありません。僕がいう「太い側」は、そのバイクが想定している用途やタイヤレンジの中で、バイク本来のキャラクターを消さない範囲で、という意味です。


    トレッドの選び方|どこで、どの方向へグリップが必要か

    グラベルタイヤは「スリックかブロックか」という二択ではありません。

    センターとショルダーでは役割が違う

    センタートレッドは、直進時の転がり、登りでの駆動、ブレーキング時の縦方向のトラクションに大きく関係します。

    一方、タイヤを傾けたときに路面へ接触するショルダーノブは、コーナリング時の横方向のグリップを担います。

    そのため、センターは低く速く、ショルダーではしっかりグリップするセミスリック系も、舗装路を自走して林道へ向かう使い方と相性がいい選択肢です。

    グラベルタイヤのセンタートレッドとショルダートレッドの役割を示す画像(AI生成画像)
    センターは転がりや駆動・制動、ショルダーはコーナリング時の横方向のグリップに大きく関わります。

    グラベル区間で「何をするか」まで考える

    同じ程度に荒れたグラベルでも、平坦な直線と、急な登り・下り・ヘアピンが続く山岳グラベルでは必要なトレッドが変わります。

    コース・走り方 重視したいトレッド性能
    舗装路の割合が多い センターの転がり効率
    平坦で直線の多いグラベル 高速系センタートレッド
    グラベル上の登りが多い 後輪の駆動トラクション
    急勾配の登りが多い センターのエッジやノブによる駆動グリップ
    ダウンヒルが多い ブレーキンググリップと前輪のコントロール性
    急なコーナーが多い ショルダーの横方向グリップ
    山岳グラベル 駆動・制動・コーナリングすべての余裕

    単純な総獲得標高だけではなく、その登り下りをどれだけグラベル上で行うのかを見るのがポイントです。

    グラベル初心者ほど、グリップに余裕を持たせたい

    グラベルに慣れたライダーなら、滑り始める感覚を察知してブレーキや荷重、車体の傾きを調整できる場面があります。

    一方、慣れていないうちは前輪がコーナーで外側へ逃げたり、砂利の上で急ブレーキをかけてタイヤがロックしたりすると、立て直すのが難しくなります。

    僕がグラベル経験の少ない人へタイヤを提案するなら、舗装路で数ワット軽いことより、コーナーや急な制動でどれだけ余裕が残るかを重視します。

    初心者に必要なのは「絶対に滑らないタイヤ」ではなく、滑り出すまでの余裕を大きくしてくれるタイヤです。

    泥ではノブの高さだけでなく間隔も重要

    泥では、高いノブだけでなくノブ同士の間隔も重要です。間隔が狭いと泥が詰まりやすく、トレッドが埋まると十分なグリップを発揮できません。

    ただし、大きなノブは舗装路では振動やノイズ、転がり抵抗を増やすことがあります。必要なグリップを確保できる範囲で、余計な抵抗を増やさないことが基本です。


    ケーシングの選び方|しなやかさ・重量・丈夫さをどう考える?

    ケーシングはタイヤの骨格で、しなやかさ、重量、路面追従性、耐衝撃性、耐パンク性に関係します。

    しなやかなケーシングは路面形状へ追従しやすく、軽快な乗り味を狙いやすい一方、尖った石や強い衝撃への保護性能とのバランスも考える必要があります。

    以下は各メーカー共通の正式分類ではなく、性格を理解するための大まかな整理です。

    大まかなタイプ 特徴 向いている使い方
    Race 軽量、しなやか、転がり重視 レース、高速グラベル
    Standard / Endurance 速度と耐久性のバランス 一般的なグラベルライド、林道
    Protection 重量は増えるが保護性能を重視 荒れた林道、長距離、バイクパッキング

    ケーシングは、どこまでリスクを受け入れるかで選ぶ

    考えること ケーシング選びへの影響
    許容できるタイヤ重量 軽快さを優先するか、保護性能を増やすか。
    走行速度 速度が上がるほど衝撃は大きくなる。
    路面の荒れ具合 尖った石や大きな段差が多いほど保護性能が欲しくなる。
    ライディングスキル ライン選択や抜重が難しい場合はタイヤ側にも余裕を持たせたい。
    荷物の量 システム重量が増えるほどタイヤやリムへの衝撃も大きくなる。
    修理スキルと装備 プラグ、チューブ交換、サイドカットなどへ対応できるか。
    リカバリーの難しさ 山奥や圏外ではトラブルを避ける価値がより大きい。

    例えば同じ岩でも、15km/hで越える場合と35km/hで下りながら当てる場合では、タイヤやリムへ入る衝撃は同じではありません。

    林道を走る僕自身の基準

    知らない林道へ入り、自走で何十kmも走って帰るようなライドでは、僕は数十gの軽さよりも少し丈夫な方を選ぶことが多いです。

    家からすぐの河川敷でパンクするのと、山の奥でサイドウォールを切って走行不能になるのでは、同じ「パンク1回」でも意味が違うからです。

    TPIの数字だけで比べない

    TPIは、ケーシングに使われる繊維の密度を示すひとつの指標です。一般的には高密度なケーシングほど細い繊維を使いやすく、しなやかなタイヤを作りやすくなります。

    ただし、TPIの数字だけでタイヤのしなやかさや転がり性能を判断することはできません。

    Cyclingnewsのテストでは、Panaracer GRAVELKING X1のStandard、X1+、X1 R-Lineを比較しています。この3種類はいずれも公称120TPIですが、実際のケーシングの硬さは大きく異なり、測定結果も単純に「よりしなやかな仕様ほど必ず速い」と予測できるものではありませんでした。

    同じTPI表記でも、ケーシングの積層方法や耐パンク層などによってタイヤ全体の性格は変わります。そのため、異なるメーカーやモデルをTPIの数字だけで単純比較するのはおすすめできません。

    TPIはひとつの情報ですが、それだけでケーシングの性能は決まりません。

    そのタイヤが軽快さを狙ったものなのか、耐久性を重視したものなのか、ケーシング全体の設計を見る方が実用的です。

    「パンクに強い」にも種類がある

    貫通パンク、サイドカット、強い衝撃でタイヤがつぶれるピンチフラットなど、タイヤのトラブルにはいくつか種類があります。

    GRAN FONDOの比較テストでも、貫通パンクへの強さとピンチフラットへの耐性は別々に評価されています。

    「耐パンク性能が高い」だけではなく、どんな壊れ方に強いのかまで確認すると用途に合わせやすくなります。

    グラベルタイヤのケーシングによる、しなやかさ・重量・耐パンク性の違い(AI生成画像)
    ケーシングの違いによって、タイヤのしなやかさ、重量、路面追従性、耐衝撃性、耐パンク性は変わります。

    グラベルタイヤの空気圧|高ければ速いわけではない

    空気圧は、実際のタイヤ幅、ライダー+自転車+荷物を含むシステム重量、前後荷重、路面などから決めます。

    同じ45mmタイヤでも、軽いライダーとキャンプ用品を積載したライダーでは適正値が違います。通常は荷重の大きい後輪を前輪より少し高めにするのがひとつの基本です。

    高すぎる空気圧は、むしろ遅くなることがある

    前述したように、空気圧が高すぎるとタイヤが路面へ追従できず、車体やライダーが上下へ跳ねやすくなります。

    その結果、走行抵抗が増えたり、接地が減ってブレーキングやコーナリングのグリップが低下したりします。

    高すぎる空気圧と適正空気圧の違いを示す画像(AI生成画像)
    空気圧が高すぎるとタイヤが路面を弾き、適正圧では凹凸へ追従しながら接地しやすくなります。

    「45Cなら30psi」と固定しない

    BikeRadarが紹介する計算例では、システム重量80kg、45mmタイヤ、混合グラベルという条件で、およそフロント30psi、リア32psi前後がひとつの出発点になります。

    ただしこれは正解ではなく、あくまで調整を始める場所です。

    • タイヤが跳ねるなら少し下げる
    • コーナーでヨレるなら少し上げる
    • リムを打つ感触があるなら上げる
    • 路面追従性やグリップが不足するなら少し下げる

    1psi程度ずつ動かしながら、自分のタイヤと路面に合わせて調整してみてください。


    公称45C=実測45mmとは限らない

    タイヤ側面に45Cと書かれていても、装着後に必ず45mmになるわけではありません。実際の幅はタイヤだけでなく、リム内幅によっても変わります。

    GRAN FONDOが同一条件で比較したテストでも、公称45mmタイヤの実測幅には違いがありました。

    リム内幅によってタイヤの形も変わる

    太いタイヤを狭いリムへ取り付けると断面が丸く立ち上がり、低圧時にヨレやすくなる場合があります。一方、広いリムでは同じタイヤでも実測幅が広がることがあります。

    太いタイヤへ交換するときは、次の4点をセットで確認してください。

    • タイヤの公称幅
    • 装着後の実測幅
    • リム内幅
    • フレーム・フォークのタイヤクリアランス

    最大クリアランスに近いサイズでは、単に回転できるだけでなく、メーカーが求めるクリアランスや泥・異物を逃がす余裕も必要です。


    グラベルとチューブレスの相性はいい

    チューブレスは比較的低い空気圧を使いやすく、インナーチューブを挟むリム打ちパンクも避けやすいため、グラベルとの相性がいい方式です。

    小さな穴ならシーラントが塞いでくれることもありますが、大きな穴やサイドカットには対応できない場合があります。

    林道へ入るなら、タイヤプラグと予備チューブも携行しておくと安心です。

    荒れた路面ではタイヤインサートも選択肢

    岩の多い林道を低い空気圧で走る場合には、タイヤ内部へ入れるインサートも選択肢になります。

    インサートはリムへの強い衝撃を和らげ、低圧時のタイヤのヨレを抑えるほか、製品によってはサイドウォールやビード周辺を支え、バープやビード外れのリスクを抑えやすくします。

    さらに、空気圧を大きく失ってもインサートがタイヤとリムの間を支え、安全な場所まで低速で退避できるよう設計された製品もあります。

    すべてのインサートが同じ性能を持つわけではありません。

    リム保護、低圧時のタイヤ支持、退避走行など、製品によって設計思想は異なります。

    一方で重量が増え、現場でインサートを外して予備チューブを入れる作業が難しくなる場合もあります。

    さらに低圧を試したい、荒れた下りを速いペースで走るようになった、リムへの強い打撃が心配になってきた。そんな段階で検討するといいでしょう。


    前輪と後輪で違うタイヤを使ってもいい

    前輪と後輪では担当する仕事が少し違うため、コースによっては違うトレッドを組み合わせる方法も合理的です。

    前輪では操舵、コーナリング、強いブレーキング時の安定性が重要。一方、後輪では駆動トラクションと転がり効率が大きな要素になります。

    そのため、舗装路やハードパックの割合が多く、下りやコーナーでは前輪にもう少し余裕が欲しい場合には、フロントを少しグリップ側、リアを少し高速側へ振ることができます。

    3ブランドで同じ考え方ができる

    ブランド フロント リア 狙い
    Panaracer GRAVELKING X1 GRAVELKING ZX 前輪のグリップ余裕+後輪の高速性
    Pirelli CINTURATO GRAVEL RM CINTURATO GRAVEL RH 前輪のミックス路面対応+後輪のハードパック効率
    Schwalbe G-One R PRO G-One RS PRO 前輪のコントロール+後輪の低い転がり抵抗

    「前はグリップ、後ろは速さ」と決めつけない

    急なグラベル登りが多ければ後輪にも強い駆動トラクションが必要なので、

    • Panaracerなら X1+ZX → 前後X1
    • Pirelliなら RM+RH → 前後RM
    • Schwalbeなら R PRO+RS PRO → 前後R PRO

    という方向へ変える方が合理的です。

    さらに荒れた下りでは、PanaracerならフロントSK+リアX1、SchwalbeならフロントRX+リアR PROのように、前輪だけもう一段グリップ側へ振ることもできます。

    前後異種タイヤの本質は、前をゴツくして後ろを速くすることではなく、前輪と後輪に何をさせたいかを考えることです。


    林道を走ってきて感じる「路面はいつも同じではない」

    西村の林道ライド経験から

    僕自身、昔からサイクリングロードより林道の方が好きでよく走ってきました。

    長く走っていると強く感じるのが、林道は一度走ったことがあるからといって、次も同じ状態とは限らないということです。

    大雨や台風のあとには、表面の土や細かな砂利が流されて大きな石が露出したり、水が流れた場所に深い溝ができたりします。

    オフロード車に人気の林道では深い轍ができていることもありますし、逆に法面から土砂が流れ込んで、以前よりずっとルーズな路面になっていることもあります。

    林業の作業や強風で、枝が路面を覆うこともある

    枝打ちや伐採のあと、台風や強風のあとには、枝や落ち葉が路面を覆っていることもあります。

    枝は石や根と違い、踏んだ瞬間に動いたり跳ねたりします。落ち葉の下に隠れていることもあります。

    タイヤが太いから、サスペンションがあるからといって、勢いのまま突っ込めば安全というものではありません。

    枝や落ち葉が散乱した林道の画像(AI生成画像)
    林業の作業後や強風のあとには、枝や落ち葉が路面を覆っていることもあります。

    僕は「ギリギリ走れるタイヤ」を選ばない

    こういう経験をしてきたので、グラベル区間が少ないコースでも、砂利道や林道そのものを楽しみたい僕は、その道を「ギリギリ走れる」性能だけでタイヤを選ばないようにしています。

    • 少し太め
    • 少しグリップに余裕がある
    • 少し丈夫なケーシング

    そのくらいの余白があった方が、予想していた路面と違ったときにも落ち着いて対応しやすくなります。

    僕にとって林道用タイヤの「余裕」は、昨日まで知らなかった道へ入ってみるための余裕であり、予想外の路面でも楽しむための余裕です。

    もちろん、危険な場所では速度を落とす、降りる、引き返すという判断も必要です。タイヤだけですべてを解決しようとしないことも、林道を楽しむうえでは大切です。


    条件から具体的なグラベルタイヤを選ぶ

    ここまで整理できたら、最後に具体的なタイヤへ落とし込んでみましょう。

    ただし、ここでもいきなり商品名から選ぶ必要はありません。

    まずはこれまで考えてきた路面の荒れ具合、必要なエアボリューム、システム重量、フレーム・フォークのクリアランスなどから、自分が使いたいタイヤ幅を考えます。

    そのうえで、その太さを選べるタイヤの中から、舗装路の割合、登り、下り、コーナー、走る速度などに合わせてトレッドを選んでいくと分かりやすくなります。

    必要な路面追従性とエアボリュームを考える

    フレーム・フォークのクリアランスを確認する

    使いたいタイヤ幅を決める

    その太さを選べるタイヤを候補にする

    乗り方・楽しみ方・コースに合うトレッドを選ぶ

    最後にケーシングや耐久性も確認する

    まずは35C・40C・45C・50Cから候補を絞る

    Bike Plusで現在おすすめしている主なグラベルタイヤについて、35C・40C・45C・50Cのサイズ展開をまとめました。

    例えば、フレームとフォークが50Cに対応していて、路面追従性を重視して50Cを使いたいと考えたなら、まず50Cが設定されているモデルを候補にします。

    タイヤ 35C 40C 45C 50C
    GRAVELKING
    GRAVELKING SS
    GRAVELKING ZX
    GRAVELKING X1
    GRAVELKING SK
    CINTURATO ALL ROAD
    CINTURATO GRAVEL RH
    CINTURATO GRAVEL RM
    CINTURATO ADVENTURE
    G-One Allround Performance
    G-One RS PRO
    G-One R PRO
    G-One RX

    ●は現在Bike Plusの商品ラインナップでサイズ設定を確認できるものです。

    実際の在庫状況はサイズやカラーによって変動します。最新の販売状況は各商品ページでご確認ください。また、公称サイズと実測タイヤ幅はリム内幅などによって変わります。

    この表で大切なのは、同じ太さでもタイヤの性格はまったく同じではないということです。

    例えば50Cでも、高速系のGRAVELKING ZXやG-One RS PROがあれば、ミックス路面向けのGRAVELKING X1、全面ノブのGRAVELKING SKもあります。

    「50Cだから荒れた道用」「35Cだから舗装路用」とは決まりません。

    タイヤ幅で必要なエアボリュームを確保したら、次はその太さの中から必要なトレッドを選びます。

    次に、乗り方・楽しみ方・コースからトレッドを選ぶ

    使いたい太さの候補が見えたら、その中からトレッドを考えていきます。

    判断したいのは、舗装路をどれくらい走るのか、グラベルで登るのか下るのか、ルーズな砂利が多いのか、コーナーを積極的に楽しみたいのか、といった実際の走り方です。

    走り方・楽しみ方 Panaracer Pirelli Schwalbe
    舗装路中心+ライトグラベル
    舗装路での軽さを重視しながら、時々砂利道へ入りたい。
    GRAVELKING CINTURATO ALL ROAD G-One Allround Performance
    舗装路+グラベルを軽快に走りたい
    舗装路での転がりを残しながら、コーナーではショルダーグリップも欲しい。
    GRAVELKING SS
    高速ハードパック
    締まったグラベルや舗装路を速いペースで走りたい。
    GRAVELKING ZX CINTURATO GRAVEL RH G-One RS PRO
    一般的な林道・ミックスグラベル
    速さを残しながら、登り・下り・コーナーにも対応したい。
    GRAVELKING X1 CINTURATO GRAVEL RM G-One R PRO
    ルーズ・荒れた林道でグリップ重視
    駆動、制動、コーナリングのグリップに余裕を持たせたい。
    GRAVELKING SK G-One RX
    長距離・キャンプ・積載
    悪路性能だけでなく、耐久性や長距離での信頼性を重視したい。
    CINTURATO ADVENTURE

    例えば50Cが欲しい場合でも、選ぶトレッドはひとつではない

    例えば、フレームクリアランスに余裕があり、荒れた路面への追従性を高めるために50Cを使いたいとします。

    そこで初めて、「その50Cで何をしたいか」を考えます。

    • 舗装路や締まったグラベルを速く走りたい
      → GRAVELKING ZX / G-One RS PRO
    • 登り・下り・コーナーを含む林道を幅広く楽しみたい
      → GRAVELKING X1
    • ルーズな路面で駆動・制動トラクションを優先したい
      → GRAVELKING SK

    同じ50Cでも、必要なエアボリュームは共通して確保しながら、トレッドによって走りの性格を変えられます。

    これが、この記事で何度か触れてきた「タイヤ幅とトレッドは別の調整軸」という意味です。

    40C・45Cは、さらにトレッドを選びやすい

    40C・45Cは、現在Bike Plusで扱っているタイヤでも選択肢が非常に多いサイズです。

    高速系、セミスリック、ミックス路面向け、グリップ重視、長距離向けまで揃っているため、必要な太さを確保したあとで、走り方に合わせてトレッドをかなり細かく選べます。

    特に「舗装路もかなり走るけれど林道も楽しみたい」という場合は、太さを必要以上に細くするより、40C・45Cのまま高速系やセミスリックを選ぶ方が、そのバイクらしいエアボリュームを残せることがあります。

    最後にケーシングや耐久性も確認する

    太さとトレッドで候補が絞れたら、最後にケーシングや重量、耐パンク性も確認します。

    同じようなトレッドでも、軽量でしなやかな走りを重視したモデルと、長距離や荒れた路面での耐久性を重視したモデルでは性格が違います。

    例えば CINTURATO ADVENTURE は、RMよりさらにゴツいトレッドを求めるためのモデルというより、荷物を積んでさまざまな路面を長く走るときの耐久性や信頼性を重視したタイヤです。

    太さで路面追従性を決め、トレッドで必要なグリップを決め、最後にケーシングで速さと丈夫さのバランスを整える。

    必ずこの順番でしか選べないわけではありませんが、具体的な商品まで絞り込むときには、とても分かりやすい考え方です。

    Pirelli CINTURATO GRAVEL RH / RMには海外で50Cの設定もあります。

    現時点でBike Plusが扱う国内仕様は40C・45Cですが、50Cが国内正規展開されれば、50Cでも高速系のRH、ミックス路面向けのRMという選択肢が加わります。

    深い泥を中心に走るなら別カテゴリー

    深い泥や粘土質の路面を主目的にするなら、高く間隔の広いノブを持つ専門的なマッドタイヤが必要になる場合があります。

    ただ、舗装路を自走して一般的な林道を楽しむ使い方なら、そこまで専門的なタイヤが必要になるケースは多くありません。

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    Bike Plusでは、舗装路中心のオールロードタイヤから、本格的な林道向けまで、太さやトレッドの違いから選べるグラベルタイヤを取り揃えています。

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    まとめ|幅・トレッド・ケーシングを行き来しながら決める

    選ぶもの 一番大きな問い 主に考えること
    タイヤ幅 どれくらい路面へ追従させたいか エアボリューム、路面の荒れ、重量、バイクの設計
    トレッド どの方向へ、どれだけグリップが必要か 舗装路、登り、下り、コーナー、駆動、制動
    ケーシング どれくらいの衝撃とトラブルリスクを受け入れるか 速度、荒れ具合、スキル、積載、リカバリー難易度

    この三つは一方向の順番で決めるのではなく、走るコースを基準に行き来しながらバランスを取ります。

    どんなバイクで、どんな道を、どんなふうに走るか考える

    タイヤ幅・トレッド・ケーシングを組み合わせる

    必要なエアボリューム・グリップ・耐久性を見直す

    リム内幅・実測幅・クリアランスを確認する

    最後に空気圧で仕上げる

    そして林道そのものを楽しみたいなら、僕は「ギリギリ走れる」より、思いっきり楽しめるくらいの余裕を少し残すことをおすすめします。


    この記事を書くにあたり参考にした主な資料


    グラベルタイヤ選びのよくある質問

    グラベルタイヤは40Cと45Cのどちらがおすすめですか?

    舗装路の割合が多く比較的滑らかなグラベルが中心なら40C前後、より大きなエアボリュームや路面追従性が欲しいなら45Cや50Cも候補になります。ただし路面だけで決めるのではなく、フレームクリアランス、リム内幅、システム重量、タイヤ重量、バイクの設計思想も合わせて考えてください。

    舗装路しか走らないなら細いタイヤの方がいいですか?

    必ずしもそうではありません。僕自身は、そのバイクが想定しているタイヤレンジの中なら基本的に太い側から考えます。舗装路での走行効率を高めたい場合は、まずスリックや高速系トレッドを選び、タイヤ幅は必要なエアボリューム、重量、空力、バイクの設計思想などから別に考えるのがおすすめです。

    タイヤを太くすることと、トレッドをゴツくすることは同じですか?

    同じではありません。タイヤを太くすると主にエアボリュームが増え、低い空気圧で路面へ追従しやすくなります。一方、トレッドを大きくすると駆動、制動、コーナリングでの機械的なグリップを高めやすくなります。同じ高速系トレッドのままタイヤだけ太くするという選択もできます。

    グラベル初心者はどんなタイヤを選べばいいですか?

    初めて林道を走る場合は、転がり性能だけを追わず、少しグリップに余裕のあるタイヤがおすすめです。特に前輪のショルダーグリップはコーナリング時の安心感に関係します。また急なブレーキングではセンタートレッド、路面追従性、空気圧なども重要なので、制動時のトラクションにも余裕を持たせると扱いやすくなります。

    グラベルタイヤの空気圧は何psiが適正ですか?

    タイヤ幅、実測タイヤ幅、システム重量、前後荷重、路面、リム内幅などによって変わるため、一つの数字には決められません。計算ツールなどで基準値を出し、実走しながら1psi程度ずつ調整する方法がおすすめです。

    前輪と後輪で違うグラベルタイヤを使っても大丈夫ですか?

    問題ありません。前輪には少しグリップの高いタイヤ、後輪には転がりの軽いタイヤを組み合わせる方法があります。ただし前輪はグリップ、後輪は速度と機械的に決めるのではなく、グラベル上の登りが多ければ後輪にも十分な駆動トラクションを持たせるなど、前後それぞれに何をさせたいかで考えることが大切です。

    グラベルタイヤは軽い方がいいですか?

    軽いタイヤには加速感や軽快さのメリットがありますが、必ずしも軽いほど良いわけではありません。走行速度、路面の荒れ具合、ライディングスキル、積載量、山奥でトラブルが起きた場合のリカバリー難易度まで考え、軽さと保護性能のバランスを決めるのがおすすめです。

    グラベルタイヤはチューブレスにした方がいいですか?

    ホイールとタイヤが対応しているなら、グラベルライドではチューブレスとの相性はとても良いです。比較的低い空気圧を使いやすく、小さな穴ならシーラントで塞がることもあります。ただし大きな損傷に備えて、プラグや予備チューブも携行しておくことをおすすめします。

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    この記事を書いた人

    Bike Plusスタッフとして、日頃の接客や整備、ライドなどの実体験をもとに記事を執筆しています。

    バイクプラス共同創業者 バイクプラスオンライン 業界歴31年

    Bike Plus共同創業者。スポーツバイク業界30年以上の販売・整備・店舗運営経験を持ち、米国Barnett Bicycle Instituteでは自転車メカニック技能認定BSEの最高位「Master Mechanic 3.0 Certified」を日本人として初めて取得。現在はウェブサイト全体の企画・運営やコンテンツ制作を中心に、Bike Plusのサービスと情報発信のあり方を考え続けています。


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